燃料デブリの測定

研究の背景

2011年3月に発生した福島第一原子力発電所(1F)事故では、原子炉燃料が溶融し、 原子炉構造材や制御棒と共に冷えて固まった核物質を含む燃料デブリが 発生していると考えられています。一般的に核物質は取扱施設への搬入・搬出量を正確に測定し 施設内の在庫量を厳密に管理する計量管理が要求されます。 1Fの廃止措置においても燃料デブリに含まれる核物質の計量管理が必要になると考えられていますが、 燃料デブリには通常の計量管理手法は適用できません。 また、デブリはその組成が不明で核物質の測定が困難です。

そこで現在、当グループでは計算機を使ったシミュレーションにより FNDI法の燃料デブリの非破壊測定と計量管理への適用性を検討しています。

シミュレーション計算体系

測定システム

に設計した測定システムを示します。

装置は水中での使用を仮定し、デブリ収納缶はアメリカのThree Mile 島での事故の 際に使用されたFuel Canisterを想定しています。 装置は円筒形で中央にデブリ収納缶を挿入する穴があり、測定の際は収納缶を走査(スキャン)します。

シミュレーションでは制御棒、SUS、コンクリート、水が均質に混ざった デブリが収納缶内に一様に分布していると仮定して、含まれる核物質量を固定し 種々の組成に対して適用可能性を検討しました。 その結果、解析によりデブリの組成の影響を除去し核物質量を測定することが 可能であることが確認できました。 ただし、これは核物質の含まれる量を一定とした条件であり、 現在、核物質の量が変化した時の傾向を調査しています。