中性子ダイアウェイ時間差分析法

高速中性子直接問いかけ(FNDI)法ついて

高速中性子直接問いかけ [Fast Neutron Direct Interrogation (FNDI)] 法装置の概念図を図1に示します。 本装置は、14 MeV中性子発生装置、グラファイトやポリエチレン等の減速・反射材、中性子吸収材であるカドミウム、高速中性子検出器及び熱中性子検出器で構成されています。中性子発生装置から発生した中性子の一部はグラファイト等により減速されますが、そのような熱中性子は体系内側に設置されたカドミウムにより吸収されます。つまり、廃棄物には主に高速中性子のみが照射されることになります。高速中性子を照射することにより、コンクリート廃棄体に対しても内部まで中性子を照射することが可能となります。

廃棄物に入射した高速中性子は廃棄物内の核分裂性物質の核分裂を誘起し、その誘発核分裂中性子を高速中性子検出器で測定します。図2に測定例を示します。一般的にFNDI法の測定データは、青色で示した第1成分、赤色で示した第2成分及びオレンジで示したフラット成分に分けることができます。第1成分は中性子発生装置から発生する中性子に、第2成分は誘発核分裂に、第3成分はバックグランドに関係しています。FNDI法では、これら測定データを多重指数関数でフィッティングを行い、誘発核分裂成分を抽出しています。この成分の積分値(図2の三角形の部分)は廃棄物に含まれる核分裂性物質量に比例した量となります。

図1 FNDI法装置の概念図
図2 FNDI法による測定データ例

JAWAS-Tについて

東海村の原子力科学研究所に設置されているFNDI法装置 [JAEA Active Waste Assay System - Tokai (JAWAS-T)] の外観写真を図3に示します。外観寸法は150×150×170cmです。一番外側は厚さ10cmのボロン入りポリエチレンで、その内側が厚さ10cmのポリエチレン、その内側が厚さ20cmのグラファイト、その内側に厚さ0.2cmのカドミウムを取り付けています。中性子検出器は高速中性子用としてHe-3検出器を30本、熱中性子用としてHe-3検出器を1本使用しています。JAWAS-Tの計測制御装置は、JAWAS-Tの部屋の隣の部屋に設置されています。図4は計測制御装置の写真です。

JAWAS-Tの特徴の一つとして、従来のアクティブ法では困難であったコンクリート廃棄体について高精度な測定が可能であることが挙げられます。従来のアクティブ中性子法では、主に熱中性子を廃棄物に照射しますが、この方法では中心部が低感度となります。そのため、測定で求まる中心部の核分裂性物質量は、実際の値に比べて2桁も小さくなるという問題点がありました。FNDI法では、測定対象物自身による高速中性子の減速効果を利用することにより、この問題点を解決しています。核分裂性物質の位置感度差を低減させた測定を可能とし、全体の感度を100倍以上改善しています。図5に、従来法とFNDI法による測定結果の比較を示しました。

図3 JAWAS-T装置外観
図4 JAWAS-T制御装置
図5 FNDI法と従来法の比較