高度センシング技術を用いた基礎・基盤研究

  日本原子力研究開発機構タンデム加速器施設 (20MVタンデム加速器+超伝導ブースター加速器)に開発した多重ガンマ線検出器GEMINIなどを用い、基礎・基盤研究を行っています。 (研究施設の詳細


研究テーマ

  • 多重クーロン励起

  • タンデム・ブースター加速器で加速されたイオンビームをnatPbターゲットなどでクーロン励起し、多重ガンマ線検出器 GEMINIで脱励起ガンマ線を測定します。原子核の低励起状態について精密な研究を行っています。
     
  • 高スピン核分光

  • タンデム・ブースター加速器で加速された高エネルギーイオンビームで、原子核を強く励起し、多重ガンマ線検出器GEMINIで脱励起ガンマ線を測定し、原子核の高励起状態を研究しています。高励起状態の原子核は、通常の原子核と異なり、洋梨型や葉巻型、バナナ型などの異常な変形状態になったり、ハサミ型振動を起こした りします。
     
  • 逆コンプトンビームを用いた高詳細核反応測定技術の開発

  • レーザー逆コンプトンγ線を利用して、開発した高分解・光エネルギースペクトロメータ(HHS:High-resolution high-energy photon spectrometer)を用いた新しいNuclear Photoabsorption Spectroscopy(NPA)を開発し、それを用いたガンマ線吸収断面積の系統的な研究を実施しています。

  • 半導体の核偏極技術の開発

  • 不安定な原子核の核磁気モーメントの測定において、原子核を偏極させると、その測定感度を大きく改善できます。そこで、半導体の円偏光誘起動的自己核偏極現象を利用した測定技術を開発しています。
     

    研究施設

    多重ガンマ線検出器 GEMINI
     BGOコンプトンサプレッサーとゲルマニウム検出器を組み合わせたアンチコンプトンガンマ線分析器は、 低バックグラウンド・高分解能を達成することが出来る。 多重ガンマ線検出装置とは、これを多数組み合わせて球状に配置した装置である。 同時発生する多重ガンマ線を検出して、原子核の構造、特に高スピン状態の研究で多くの実績を収めている。 原子力機構では、タンデム・ブースター加速器研究施設に、12台のアンチコンプトンガンマ線分析器からなる多重ガンマ線検出装置("GEMINI")を設 置し た。平成14年に、γ線の検出効率を向上させるためにGEMINIの更新を行いました。現在、多重ガンマ線検出装置は、16台のアンチコンプトンサプレッ サ付きGe検出器と、3台のLOAX検出器より構成され、GEMINI-IIと呼ばれています。
     
     
    タンデム・ブースター加速器研究施設


     多重ガンマ線検出装置 "GEMINI-II"

     

       

    多重ガンマ線検出装置"GEMINI" (2002年まで)



    粒子線検出器  LUNA

    位置感応型の光電子増倍管とプラスチックシンチレータを組み合わせることで、 高計数率に対応し、安価でトラブルの少ない粒子線検出器を開発しました。